「修復歴あり」と書かれた車、なんとなく安いけど…大丈夫なの?
中古車サイトでよく見かける表示だけれど、意味がわからないまま避けている人も多いかもしれません。
結論から言えば、初心者が修復歴車を買うのはおすすめしません。
しっかり見極めるには専門知識が必要で、安さに惹かれて選ぶと後悔する可能性が高いからです。
この記事では、「修復歴とは何か?」という基本から、
「本当に避けるべきパターン」「例外的にOKなケース」まで、
判断の軸を整理して、後悔のない選択をサポートします。
そもそも“修復歴”ってなに?なぜ怖いの?

「修復歴=事故車」と思っている方も多いですが、実は定義はもっと限定的です。
しかし、限定的であるがゆえに、一見きれいな車にも見えないリスクが潜んでいるのです。
修復歴とは「骨格にダメージがあった車」のこと
- フレーム・クロスメンバー・ピラーなど、車体の“骨格”にあたる部分を修理した履歴
- バンパー交換やフェンダーの凹みは対象外
人間で考えると、切り傷や擦り傷は修復歴にあたらず、骨折は修復歴になる。
交通事故や災害により、
バンパーやドアパネルなどにキズが入っても修復歴にはならない。
骨格部分に後から加工、溶接などをした形跡があれば修復歴になる。
このようなイメージです。
内臓損傷の場合どうでしょうか。
車で言うとエンジンが壊れて載せ替えたとします。
これは修復歴には該当しません。
「修復歴なし」でも事故歴がある可能性がある理由
- 軽微な事故(例:前後バンパー破損)は「修復歴なし」と表示される
- だから「修復歴なし=完全に無事故」とは限らない
ガードレールに擦っちゃった、隣の車にドアパンチされた。
この程度の事故だと修復歴にならない可能性が非常に高いです。
つまり事故歴がある=修復歴があるとはならないわけです。
なぜ“素人目では見抜けない”のか?構造的な難しさ
- 内部構造は見た目に現れにくく、骨格にゆがみがあっても外装はきれいに見える
- プロの査定士でも判断に迷うことがあるほど、見極めが難しい分野
例えば事故が起きてバンパーやドアパネルなどが修復不可能な損傷だったとします。
この場合、バンパーやドアパネルは新品に交換することになります。
しかし骨格部分を新品に交換することは困難ですので、修理することになります。
外板部分が綺麗な状態なので、
骨格部分に疑いをもって確認しないと気づきにくいということになります。
しかし、プロは百戦錬磨です。
一部外板だけが綺麗だから、これは事故歴の可能性があるなと念入りに確認します。
見落としは滅多にないと言えそうです。
修復歴車は避けるべき!その3つの理由

安くて魅力的に見える修復歴車ですが、初心者にはリスクが高すぎます。
ここでは、なぜ避けるべきなのかを明確にしておきます。
走行性能や衝突安全性が低下しているかもしれない
- わずかな骨格のゆがみが走行安定性・制動距離に影響する可能性
- 衝突時の衝撃吸収構造が“正しく機能しない”リスク
新車製造時の骨格と比べるとほんの僅かでもゆがみが生じている可能性があります。
車は膨大な部品点数で出来上がっていますので、ほんの少しずつストレスが広がっていきます。
その結果、思いもよらぬ場所に負荷が掛かり、
安定性を損なう、故障確率が高まるなどのリスクを負うこととなります。
事故車の見分け方はプロでも迷うほど複雑
- 外装や塗装のムラだけでは判断できない
- プロでも稀に見落としはある
「修復歴を隠して販売していた。悪徳業者だ!」
なんて言われることがありますが、プロでも見落とす可能性が低くない部分です。
見落としの無いように念入りに確認しています。
それでも人間の目ですから、僅かに見落としが起こってしまうのは仕方の無い事です。
修復歴隠しはリスクが大きく、販売店にメリットがありません。
いわゆる悪徳業者と言われるものはほとんど無いと言えそうです。
将来的に売却時の査定が大きく下がる可能性も
- 修復歴のある車は買取査定が数十万円単位でマイナスになることも
- 安く買えたつもりが、最終的には損になる可能性がある
修復歴ありの車両は買取査定が下がります。
そのため、将来売却前提で購入を検討している場合は避けるのが無難です。
それでも「買ってよかった」となるケースはある?

「修復歴車はすべてNG」とは言い切れません。
ただしそれは、十分な知識と経験、そして明確な納得のうえで選ぶ場合に限ります。
しっかり修理されていて保証付き/整備記録も明確
- 適切な整備記録・第三者機関の鑑定書があると信頼性が高まる
- 「販売店の説明責任」を果たしているかが最大の判断基準
修理箇所、修理内容が明確になっていて、
修理箇所を販売店が現物を見せながら説明してくれる場合、
その内容で納得が行くなら購入を検討しても良いと言えそうです。
客観的な判断材料があるかがポイント
- 第三者機関(AISやJAAAなど)の車両鑑定書が添付されていると、
車の状態が客観的に評価されている証拠 - 鑑定書の「修復歴の内容」「骨格への影響の有無」「評価点」などを確認し、
販売店がそれを元に丁寧に説明してくれることが安心材料となる - 信頼できる販売店は、鑑定書を開示し、わかりやすく内容を説明してくれる
第三者機関の鑑定書がある車両なら、修復歴と修復箇所が明確になっています。
修復内容が許容できる範囲であれば購入の検討に向けて、より信頼度の高い情報と言えます。
購入者が十分にリスクを理解し、納得している場合
- 安さの理由を理解したうえで、用途が限定されているなら許容範囲(例:短期利用・DIYベース)
修復歴車は、うまく選べばコスパの良い選択になることもあります。
でも、知識のない状態で飛びつくのは非常に危険です。
結論|初心者は“避ける”のが正解

修復歴車は、うまく選べばコスパの良い選択になることもあります。
でも、知識のない状態で飛びつくのは非常に危険です。
プロや整備士など、目利きができる人に相談せず買うのは危険
- 自信がなければ、修復歴車は候補から外すべき
- 知識のある第三者に「この車どう思う?」と相談するのがベスト
「どうしても欲しい車種が修復歴車しかない」
などの状況でなければ候補から外すのが無難です。
修復歴車のリスクはどこにどんな影響が出るのかプロでもわからないことですから。
見極める力がないなら避ける
- 中古車選びは「安心して乗れること」が最優先
- 「どうしても安い車が欲しい」という人ほど注意が必要
安さを求めるあまり修復歴車を購入すると、購入後の故障リスクが高い分、
結果的にトータルコストが高くつく可能性があります。
安さを理由に求める場合は修復歴なし車を選択するのが無難です。
まずは“修復歴なし”のなかで理想の1台を探すのがおすすめ
- 同じ価格帯でも、修復歴なし・走行距離控えめな車は十分に見つかる
- 時間をかけてでも“納得の1台”を選びましょう
筆者は修復歴なしの車両をじっくり探すことをおすすめしています。
価格に惑わされず、「なぜ安いのか?」にきちんと向き合う。
それが後悔のない中古車選びの第一歩です。
次の記事では見積書の見方を解説しています。
契約を結ぶ前に確認する見積書。
これを読み解く力が必要不可欠です。
是非参考にしてみてくださいね。
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